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2007年 集中治療領域の進歩 ~循環、外傷、鎮静の巻~ [critical care]

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 2008年4月15日号より

Update in Critical Care 2007

肺動脈カテーテルを使用しても転帰が改善しないという論文が次々に発表された結果、この十年間で肺動脈カテーテルの使用本数が漸減していることが分かった。

なるべく少ない侵襲で生体情報を得る方法の研究で、心臓手術中の患者では酸素飽和度モニタ波形の振幅の呼吸性変動から輸液による血行動態変化を予測することができることが明らかにされた。

心臓外科手術患者にメトプロロール(β1遮断薬)に加えハイドロコルチゾンを投与すると心房細動発生頻度が低下し、術後感染性合併症は増加しない。

術中の出血コントロールの目的でアプロチニンを投与すると、アミノカプロン酸やトラネキサム酸を投与した場合と比較し死亡率が上昇することが複数の研究で明らかになった。その結果、心臓外科手術における抗線溶療法に関するRCTについての詳しい調査結果が示されるまではアプロチニンの販売が一時中止されることとなった。

鈍的頭部外傷による重症脳損傷患者の死亡率は、入院時に低~中程度の血中アルコール濃度を呈する患者ではアルコールが検知されない患者よりも低く、高血中アルコール濃度では死亡率が高いことがコホート研究で明らかにされた。

慢性重症患者に対するタンパク同化ステロイド使用の是非は未だ決着していない。単一施設で行われた熱傷患者を対象としたRCTでオキサンドロロン投与により入院期間が短縮し、除脂肪体重が維持され、かつ内分泌系の異常も認められなかったという結果が得られた。ただし、オキサンドロロンの投与によりトランスアミナーゼが上昇したため、肝機能に影響を与える可能性がある。

重症頭部外傷患者の脳全体の血流量をキセノンCTで測定したところ、脳還流圧とはほとんど相関しないことが明らかにされ、過去の報告とは異なることが分かった。この結果は頭部外傷患者でも自動調節能が相当程度維持されていることを示唆する。

脳損傷の場合の最適ヘモグロビン値については意見の一致は未だ見られていない。クモ膜下出血患者を対象とした単一施設コホート研究で、ヘモグロビン濃度が高いほど機能転帰が良好であったという結果が得られた。

鎮静鎮痛療法の現状調査が米国とフランスで行われた。その結果、看護師による評価が行われる頻度は低く(夜間はほとんど行われない)、ほとんど目覚めず動きもしない患者に対する過鎮静、鎮静評価法が十分活用されていない、痛みを伴う処置を行う際の鎮痛管理が不適切である、といったことが明るみに出た。

人工呼吸患者をデクスメデトミジン群かロラゼパム群に無作為に割り当て、鎮静スケールに従って投与量を調節したところデクスメデトミジン群の方が昏睡状態の日数が少なかったが、譫妄や人工呼吸期間については有意差は認められなかった。

教訓 頭部外傷の死亡率は、ほろ酔い<素面<泥酔です。ほろ酔いだと死亡率が低いのは、受傷時の驚愕、恐怖などによる身体運用能力低下(居着き)が抑制されるからでしょうか。心を練ることが大切なようです。
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