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2007年 集中治療領域の進歩 ~その他いろいろの巻~ [critical care]

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 2008年4月15日号より

Update in Critical Care 2007

TPN施行患者における中心静脈カテーテルによる血管壁損傷は1000カテーテル日あたり0.28件発生し、危険因子は左半身の血管への留置と高齢者であった。

緊張性気胸が疑われる症例に穿刺による脱気を行う場合、最も成功率が高く安全なのは7cm以上の穿刺針を用い胸骨角の高さで鎖骨中線上を胸壁に対し垂直に穿刺する方法であることがCT画像の解析から明らかにされた。

排便管理に関する大規模RCTで、ラクチュロースとポリエチレングリコールは偽薬よりも排便促進効果において優れていることが明らかにされた。

卒後医学教育認定委員会は2003年に研修医労働時間規制を全米に導入した。大規模遡及的コホート研究でメディケア受給者の院内死亡率はこの労働時間規制導入前後で有意差を認めないことが明らかにされた。また復員軍人病院においては四種の一般的な内科系疾患による死亡率が労働時間規制後に低下したことが分かった。一週間の労働時間の上限を80時間とする規制導入前の二年間に入院した成人外傷患者の有訴率が規制導入後より高かったことが単一施設研究で明らかにされた。

ICUにおける面会時間を延長する施設が増えている。患者家族には面会時間の延長は好評であるが、ICU勤務看護師は業務中断の懸念があるとしてあまり好意的に捉えていない。小児ICUの調査では、回診時に患児ベッドサイドに両親が付き添っていてもICU内スタッフの教育やスタッフ間のコミュニケーションにはそれほど大きな問題は生じないことが分かっている。

集中治療医がICUに常駐していると全体的なケアの質およびICU勤務看護師の満足度が向上し、ICU滞在日数が減少する。また、ICU勤務看護師の数が増えるとICU内感染率および院内死亡率が低下する。

集中治療の地域集約化によって人工呼吸を要する患者の生存率が改善する可能性がある。

多くの病院でICU以外の院内における急性重症患者の治療に関わるアウトリーチチーム制度を導入するようになってきている。大規模RCTではアウトリーチチーム導入による効用は確認されていないが、前後比較調査では心停止症例の減少、治療開始までの時間の短縮、ICU緊急入室症例の減少が認められた。しかし、死亡率低下を強く示唆するエビデンスはまだ得られていないのが現状である。

敗血症に対するEGDT(early goal directed therapy; 本治療を行うには救急部搬送時に敗血症の診断を行い、中心静脈圧を測定しICUへ収容しなければならない。) 、急性肺障害患者に対する肺保護戦略、米国における集中治療医常駐ICUの普及(患者入退室の混乱、病院収入の不足および費用の増大などの影響が考えられている)、ICU勤務者間のコミュニケーションの改善(医師と看護師ではコミュニケーションの質についての認識が異なる)などは有効性が明らかにされた方策であるが、導入するにはいずれについても様々な障壁が立ちはだかっていることが報告されている。

意思決定不能状態で近親者のいない患者がICU死亡患者およそ20名中1名存在し、そのような患者の治療方針の大部分を当該施設内の検討や法的審査を経ることなく担当医が決定しているという調査結果が得られた。

生命維持につながる治療法を中止してもそれが医学的に適切であるならば、患者や患者家族の意思に反していても治療を中止した医師を法的に保護するという内容の事前指示法案がテキサス州で1999年に可決された。しかし治療方針の審査に本法案が実際に適用された症例はごく少数であることが調査の結果明らかになった。

カナダに所在するICUの代表責任医師、婦長、呼吸療法士を対象とした調査から、医学的に無意味なケアの定義として現場で認識されているのは、意思疎通が可能となる望みがないと判断される症例に行われる相当な医療資源の投入を要するケアであることが明らかになった。

英国に所在する92ヶ所のICUにおける観測研究で、COPDを合併する重症患者の転帰について医師が実際よりも悲観的な予測を持っており、その結果有効な治療法が行われていない可能性があることが明らかにされた。

教訓 医師がしゃかりきになって働かなくても患者に悪影響はなさそうです。テキサス州は大胆というか合理的なところです。

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