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気管切開のタイミング~考察 [critical care]

Systematic review and meta-analysis of studies of the timing of tracheostomy in adult patients undergoing artificial ventilation

BMJ 2005年5月号より

考察
ICUで人工呼吸管理を要する成人重症患者においては、早期に気管切開を行うと人工呼吸期間とICU滞在期間が著しく短縮する。しかし、対象となった論文数および患者数が限られているため、今回の解析で得られた結果の正確さには疑問が残る。

考えられる問題点
今回の解析対象となりうる論文を遺漏なく抽出することができなかった可能性はあるが、広範囲にわたる検索を繰り返し行ったためその可能性は極めて少ないと考えられる。徹底的な検索を実施したが、重症患者における気管切開の時期についての無作為化臨床研究を5編しか得ることができなかった。5編とも比較的少人数の患者を対象とした研究であり、すべてあわせても対象患者数は406名にしかならなかった。

各研究のばらつき
各研究間で、除外基準および適合基準が異なり、気管切開の「早期」と「晩期」の定義にもばらつきが認められた(table1)。一般ICU(総合ICU)ではなく、異なる特定の専門分野の患者が対象とされているという相違点も見られた。また、転帰項目についての差違も認められた。院内肺炎の診断基準は論文ごとに異なっていたため(table2)、同治療群でも院内肺炎発生率に相当大きなばらつきがあった。研究間のばらつきの定量化を実施した(I2)ところ、5編とも高いI2値を示した(57.8%, 86.5%, 81.3%, 86.9%)。したがって、研究間のばらつきは、偶発的に生じたものではなく、研究方法の違いに起因するものと考えられた。

人工呼吸患者に対し早期気管切開が広く行われるようになれば、ICU滞在中に多くの人工呼吸患者が今までより早い段階で気管切開手術を受けることになるであろう。つまり、従来通りの晩期気管切開が採用されていれば気管切開が行われなかった患者に、気管切開が実施されるかもしれないのである。Rumbakらの無作為化比較対照試験では、晩期気管切開群の8名(生存患者の35%)は、プロトコルで定められた気管切開時点に至る以前に気管切開を行う必要性がなくなっていた。本レビューでは早期気管切開にはICU滞在期間および人工呼吸期間の短縮という限定的な有用性があることが明らかにされた。しかし、早すぎる気管切開または気管切開の過剰適用の可能性があるのであれば、早期気管切開には看過し得ない危険性があるのかもしれない。この問題を克服するため、長期にわたり人工呼吸を要する患者を予測する方法の構築が幾度も試みられてきた。このような予測法が確立されれば、早期気管切開が有用性を発揮できる患者を正確にすくい上げることができる。しかし、ICU領域において長期人工呼吸の必要性を予測するのに一般的に適用することのできるような、適切な検査法やスコアリングシステムは今のところ開発されていない。したがって気管切開の要否は、いまだに主観的判断によって決定されているのである。

結論
成人重症患者では、初期には気管挿管によって気道管理が行われる。人工呼吸が長期に必要であると判断されると気管切開が行われる。しかし、今回のメタ分析は対象論文数および患者数が少ないとはいうものの、この結果を一般に広く適用するとすれば、気管切開は今までよりも早期に行うべきであると言うことができる。UKの集中治療学会では近頃、早期気管切開に本当に有用性があるのか、という問題に着目した。これを受け、気管切開の時期と死亡率の相関を検討する大規模研究がUKのICUではじまったところである。

教訓 早期気管切開にはICU滞在期間および人工呼吸期間の短縮という限定的な有用性があります。長期にわたり人工呼吸を要する患者を予測する方法はまだ開発されていません。気管切開の要否は、担当医の主観で判断するしかありません。
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