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重症感染小児は輸液負荷で死亡率が上昇する~はじめに [critical care]

Mortality after Fluid Bolus in African Children with Severe Infection

NEJM online 2011年5月26日

ショック患者の目的指向型治療ガイドラインでは、血行動態を是正するため早い段階で急速輸液負荷を行うことが大きな柱の一つとなっている。この方法は、小児蘇生の教育プログラムでも踏襲されていて、ショックと診断したら15分以内に~60mL/kgの輸液負荷を行うことが推奨されている。輸液負荷に対する反応が芳しくない患児には、強心薬を投与し人工呼吸を行うことになっている。小児敗血症性ショック症例の転帰が格段に改善したのは、この治療方針のおかげだとする意見が示されている。しかし、輸液負荷の開始基準や、投与量および輸液製剤の種類についてのエビデンスは蓄積されていない。

サハラ以南アフリカ地域に所在する病院では医療資源が乏しく、集中治療に必要な医療機器が設置されている施設はごく少数である。そのような状況でもトリアージと救急医療が有効性とコストの両面から有用であることを示すエビデンスがあるにも関わらず、彼の地で導入されている小児生存率向上プログラムではトリアージや救急医療といった視点が取り入れられていない。サハラ以南アフリカ地域では、マラリア、敗血症、その他の感染症が小児の健康を脅かす主要な原因であり、発症すれば早期に多くの患児が死亡する。低容量性ショック(末梢循環がどんな程度にせよ不良であることを意味する)はありふれた病態であり、死亡率の大幅な上昇につながる。しかし、WHOのガイドラインでは、ショックが進行したら(毛細血管再充満時間>3秒、微弱な頻脈、四肢冷感を呈する場合)、輸液を行うこととしている。そのためこのガイドラインはあまり受け入れられていない。サハラ以南アフリカ地域の病院に収容された患児の大半には、高度貧血に対する輸血や維持輸液を除いては、病態に応じた輸液管理が行われていない。

The Fluid Expansion as Supportive Therapy(FEAST)研究では、初期蘇生における生理的食塩水ボーラス投与とボーラス投与なし(対照)、生食ボーラス投与とアルブミン製剤ボーラス投与の有用性が比較検討された。

教訓 小児敗血症性ショック症例における輸液負荷の開始基準や、投与量および輸液製剤の種類についてのエビデンスはありません。このFEAST研究では生食負荷vs負荷なし、生食負荷vsアルブミン負荷、負荷あり(生食群+アルブミン群)vs負荷なしの比較が行われました。

参考記事
輸液動態学 
正しい周術期輸液 
敗血症性ショック:輸液量が多いほど死亡率が高い 
外傷患者救急搬送中の輸液で死亡率が上昇する
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