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ICUの毒性学~毒蛇③ [critical care]

Toxicology in the ICU: Part 3: Natural Toxins

CHEST 2011年11月号より

患肢の浮腫とコンパートメント症候群を臨床的に鑑別することは不可能である。なぜなら、ヘビ咬傷によって、強烈な自発痛と圧痛があったり、指であれば緊満して感覚異常や感覚低下を来していたり、動脈の拍動を触知することが困難であったりするからである。とは言え、北米に棲息するマムシ属の毒蛇による咬傷後に本物のコンパートメント症候群が起こることは非常にまれである。コンパートメント圧を測定して高い値であることを確認することなしに筋膜切開を行ってはならない。コンパートメント圧が30mmHgを超える中等度上昇を示していたとしても、抗毒素の追加投与と患肢挙上で対処し、二、三時間以内に再評価を行うべきであるとする専門家もいる。このようにして数時間でコンパートメント圧が低下しないならば、筋膜切開を実施する。我々は、筋膜切開の是非を検討する際には中毒専門家に助言を求めることを推奨する。

毒蛇咬傷後、数日間は出血性水疱が大きくなる。疼痛緩和と水疱下組織の状態評価のため、デブリドメントを行う。壊死がひどければ、手術室でさらに広範囲にデブリドメントを行ったり、その結果皮膚移植が必要になったり、場合によっては四肢切断が必要になるかもしれないため、外科医にコンサルトする。抗毒素を迅速に投与しても組織壊死を防いだり、指の切断を免れたりする効果は期待できないことを受診当初から患者に説明しておくことが重要である。
他にも、亜急性期には再燃という問題が浮上する。CroFab投与から36時間後までは、患肢の腫脹が進行することがある。患肢を挙上していないとこういうことが起こりうるが、挙上していても腫脹がひどくなる場合は抗毒素の追加投与が必要なこともある。遅発性血液毒性(治療開始時には認められなかった重度の血小板減少症および凝固能低下が、数日後になって現れる)は稀ではなく、深刻な顛末になる可能性がある。このため、CroFab投与例では全例で血小板数とフィブリノゲン濃度を抗毒素投与から2~4日目までは連日、5~7日目にもう一回測定しなければならない。退院にあたって、出血の有無を確認し、アスピリン・NSAIDs・抗血小板薬・抗凝固薬の服用を避け、毒蛇咬傷から少なくとも2週間は手術や歯科治療をうけないこと、といった指導を行う。遅発性または再燃性血液毒性があらわれた場合は、たくさんの要素を勘案して治療方針を決定しなければならないため、中毒専門家の助言を求める。抗毒素投与から3週間後までは血清病が起こる危険性があるため患者にその旨伝えることを忘れないようにする。もし血清病が発症したら副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬を投与する。

サンゴヘビ咬傷はマムシ属咬傷とは異なり、神経毒性だけしか発現しない。サンゴヘビの毒には細胞毒性や血液毒性がないため、咬傷部位局所にはこれといった影響はあらわれず、血液検査にも異常は見られない。サンゴヘビ(ソノラサンゴヘビを除く)に咬まれたといって病院へ来た患者については、観察を24時間後まで続ける。サンゴヘビに咬まれても、噛み傷は必ずしも視認できないし、神経毒性による症状(感覚異常、眼瞼下垂、筋力低下、呼吸不全など)は時間が経ってから発現するかもしれないからである。対症療法を行い、複視や構音障害などの神経毒性症状が見られれば気管挿管し人工呼吸を開始する。横紋筋融解症の除外診断も行わなければならない。北米サンゴヘビ抗毒素(Pfizer)はすでに生産中止となっており、在庫も残り少ない。もしこの抗毒素を入手することができれば、神経毒性による症状が認められたらただちに4バイアルを投与する。これによって病態の悪化を防ぐことができる。

毒蛇咬傷の管理方針は、ヘビの種類、そのヘビが持っている毒に特有の作用、有効な抗毒素の入手可能性など、さまざまな要素によって左右される。ヘビによる咬傷を診療する際には、全例で必ず中毒センターに連絡し専門家に相談しなければならない。

教訓 ニホンマムシは臆病です。近寄らなければ咬まれることはほとんどありません。マムシの毒は出血毒です。ハブも出血毒を持ちます。マムシ毒の方が毒性は強いのですが、ハブは非常に攻撃性が強く、咬むとたくさんの毒を注入するためおそれられています。
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