So-net無料ブログ作成

帝王切開:フェニレフリンvs エフェドリン~結果 [anesthesiology]

Placental Transfer and Fetal Metabolic Effects of Phenylephrine and Ephedrine during Spinal Anesthesia for Cesarean Delivery

Anesthesiology 2009年9月号より

結果

104名すべてについて調査を完遂することができた。各表に示すごとく両群とも、いずれかの検査を行うのに血液検体量が不足する症例があった。各群一人ずつについては、ひどいシバリングによるアーチファクトのため血行動態データを正確に記録することができなかったため、血行動態の解析対象から外した。

患者の背景因子については両群間に差は認められなかった(table 1)。血液ガス分析の結果をtable 2に示した。臍帯動脈と臍帯静脈のpHおよびBEは、フェニレフリン群よりエフェドリン群の方が低かった。臍帯動脈PCO2と臍帯静脈PO2は、フェニレフリン群よりもエフェドリン群の方が高かった。

乳酸、ブドウ糖、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンおよびエフェドリンの血漿中濃度をtable 3に示した。エフェドリン群の母体動脈血16検体および臍帯静脈3検体とフェニレフリン群の母体動脈血7検体において、血漿エピネフリン濃度が検出限界(20pg/mL)を下回った。データ解析にあたって、これらの検体のエピネフリン濃度を19pg/mLと仮定した。臍帯動脈血および臍帯静脈血の血漿乳酸、ブドウ糖、エピネフリンおよびノルエピネフリン濃度は、フェニレフリン群よりもエフェドリン群の方が高かった。母体動脈血の血漿ブドウ糖、エピネフリンおよびノルエピネフリン濃度も、フェニレフリン群よりもエフェドリン群の方が高かった。血漿フェニレフリンおよびエフェドリン濃度の臍帯静脈血/母体動脈血(UV/MA)比と臍帯動脈血/臍帯静脈血(UA/UV)比をfigure 1に示した。エフェドリン群とフェニレフリン群を比較すると、UV/MA比(中央値1.13 vs 0.17, P<0.001)、UA/UV比(0.83 vs 0.71, P=0.001)ともにエフェドリン群の方が有意に大きかった。

出生体重およびApgarスコアは両群同等であった。フェニレフリン群では、1分後Apgarスコアが6点の児が1名存在したが、この児以外の1分後Apgarスコアおよび全出生児の5分後Apgarスコアは7点以上であった。

血行動態、昇圧薬の使用および吐き気・嘔吐の発生頻度をtable 4にまとめた。エフェドリン群の方が昇圧薬の投与量が少なかったが、低血圧および吐き気・嘔吐の発生頻度が高く、フェニレフリンのレスキュー使用の回数が多かった。収縮期血圧の最高値はエフェドリン群の方が高かったが、フェニレフリン群の方が心拍数の最小値が低く、徐脈の発生頻度が高かった。アトロピンを要したり、酸素投与が必要になったりした患者は皆無であった。

教訓 エフェドリンの方が胎児アシドーシスを招きやすいようです。

フェニレフリン
臍帯動脈 pH 7.33 BE -1.9
臍帯静脈 pH 7.34 BE -1.6
エフェドリン
臍帯動脈 pH 7.25 BE -4.8
臍帯静脈 pH 7.34 BE -4.3

コメント(2) 

コメント 2

ぶりぶり

私も最近カイザーのときはフェニレフリン(ネオシネジン)を使います。確かにエフェドリンよりよいみたいです。
1)100mcgもいれれば血圧はあがる。
2)頻脈にならない
1Aが1000mcgなのでたくさん使っても余ります。
反対にエフェドリンはカイザーのルンバールではなかなか効きません。1Aいじょういれることもしばしばです。とくに肥満のひとだと低血圧傾向が激しいようです。
by ぶりぶり (2009-10-09 07:39) 

vril

ぶりぶり先生こんにちわ。私も近頃は、徐脈傾向の方を除きCSのときにはネオシネジンを使っています。

ぶりぶり先生のご指摘通り、エフェドリンだとかなりたくさんいれても頻脈になるばかりで血圧はあまり上がらず、「気持ち悪いですぅ」と妊婦さんに言われてしまうことがありましたが、ネオシネジンを使うようになってからそういうことはほんとんどなくなりました。

2009年10月号のAnesthesiologyにも、CSEで行うCSのときにエフェドリンまたはフェニレフリンを使った場合の母体の心拍出量の変化を比較した論文が掲載されています。フェニレフリンの方がCOが減る、という結果が報告されています。本ブログの過去の記事(2008年11月28日;帝王切開の脊椎麻酔:ブピバカイン量とフェニレフリン有無による血行動態の比較)でも、フェニレフリンを投与するとCOが減るのでたくさん投与するべきではない、と書かれています。

ぶりぶり先生のおっしゃる通り、フェニレフリンは100mcgぐらいの投与量にしておくのが無難なようです。
by vril (2009-10-09 09:32) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。