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重症患者の経静脈栄養~適応① [critical care]

Parenteral Nutrition in the Critically Ill Patient

NEJM 2009年9月10日号より

臨床適応
定期的な栄養状態の評価は、ICUにおける決まり切ったケアの一つとして位置づけられるべきである(Supplementary AppendixのTable 1)。その目的は、ICU入室以前から存在する低栄養状態または低栄養に陥るリスクを明らかにすることである。栄養評価には、患者の病歴(特に食習慣の経緯と体重の変化)から得られるデータに基づく臨床的判断、既往歴、理学的所見、生化学検査が含まれる(Supplementary AppendixのTable 1および本編のTable 2)。重症患者では、炎症、感染、輸液量過多に起因するアルブミンやプレアルブミンといったタンパクの血中濃度低下が起こることが多いので、これらの値はタンパクに関する栄養状態の生体マーカとしては有用とは言えない。

ICUにおける経腸栄養の適切な実施法は、従来から議論の的となっている。経静脈栄養と比較し経腸栄養は安価であり、腸粘膜構造や腸の吸収およびバリア機能を維持するのに有利である(動物実験ではっきりと証明されている)。さらに、感染性合併症、機械的合併症(カテーテルの閉塞など)および代謝性合併症も少ない。しかし、消化管機能が低下し経腸栄養を行えない患者では、経腸栄養に固執すると、栄養投与量が不足し低栄養を招くおそれがある。経静脈栄養の有効性に関する見解のばらつきがあることを考慮すると、実際に行われている経静脈栄養のやり方には施設間、米国内の地域間、国際間で大きな差異があることがうかがわれる。小児の経静脈栄養の方法については、本論文で扱う範疇を超えた特有の留意点があるため、入院栄養療法に関する小児ガイドラインを参照されたい。

広く認められてはいるものの根拠に基づいているとは言い難いのだが、重症患者における経静脈栄養の適応として、大腸切除を伴うまたは伴わない大量小腸切除と、排液多量の近位小腸瘻または小腸穿孔が挙げられる。重症の下痢または嘔吐、著明な腹部膨満、腸閉塞、重症消化管出血もしくは不安定な血行動態を呈する場合は、経腸栄養が禁忌であるか、または順調に行うことができない可能性がある。以上のような状態が3~7日間以上続くと見込まれるときは、一般的には経静脈栄養の適応があると判断してよい。

経静脈栄養の禁忌として広く認められているのは(上記と同じく根拠に基づいているわけではないが)、経腸栄養の経路があり消化管機能が良好な場合、経静脈栄養の実施期間が5-7日間を超えそうにない場合、経静脈栄養に要する輸液量を投与することができない場合、ひどい高血糖、重篤な電解質異常などがある場合、のいずれかに経静脈栄養を開始しようとする時点で当てはまるか、静脈カテーテル留置のリスクがかなり高い場合である。

経静脈栄養は、末梢静脈または中心静脈カテーテルを用いて行われる。しかし、末梢静脈路を用いて経静脈栄養を行うときは、静脈炎の危険性があるため、高濃度製剤を投与することはできない。したがって、必要な栄養を投与するには大量の輸液をせざるを得ない。腎、肝または心機能低下のため輸液量を制限しなければならないときには、大量の輸液は不可である。したがって、末梢静脈路を用いた経静脈栄養は、一般的にはICU患者では適応とならない。中心静脈カテーテルを用いれば高濃度の栄養製剤を投与することができるので、ICU患者では普通はこの方が適している。

経静脈栄養を安全に成功させるには、静脈カテーテルの正しい留置および管理が不可欠である。多くの病院では、経静脈栄養用カテーテルの留置を専門に行う部門が設置されている。一般的に、経静脈栄養のために留置したカテーテルは、採血や薬剤投与など他の用途に用いてはならない。カテーテルおよびカテーテル刺入部位は決められた方法に従い管理し、適切な無菌操作とドレッシング法を実施する。

経静脈栄養製剤の調剤は、相応の訓練を受けた薬剤師によって無菌環境下で行われる。最近では、コンピュータによる経静脈栄養処方ガイドが広く使用されるようになっている。このガイドを用いれば、適切な組成の製剤を確実に処方することができる。経静脈栄養製剤は、生化学的変性や細菌汚染の危険性があるため、24時間ごとに新しく調整し冷暗所に保存する。投与前には製剤を室温に戻してもよい。投与する際は、輸液ポンプを用いて投与速度を調節する。微粒子や細菌を除去する目的で、輸液ラインの途中にフィルタを装着することがある。

参照:重症患者の栄養ガイドライン

教訓 経静脈栄養の禁忌として広く認められているのは、経腸栄養の経路があり消化管機能が良好な場合、経静脈栄養の実施期間が5-7日間を超えそうにない場合、経静脈栄養に要する輸液量を投与することができない場合、ひどい高血糖や重篤な電解質異常などがある場合、のいずれかに当てはまるか、もしくは、中心静脈カテーテル留置のリスクが高い場合です。

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