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免疫能正常のICU患者におけるCMV感染症~結果 [critical care]

Prevalence and mortality associated with cytomegalovirus infection in nonimmunosuppressed patients in the intensive care unit

Critical Care Medicine 2009年8月号より

結果

13編の論文を得た。対象患者数は総計1258名であった(Table 1)。9編は前向きコホート研究で、4編は遡及的研究であった。文献検索の流れをQUOROMフローチャートに則って示した(Fig. 1)。

過去のCMV感染によってCMVが再活性化した症例の割合と診断法
ICUに収容された非免疫抑制患者のうち、活動性CMV感染症を発症した割合は全体で17%であった(95% CI, 11%-24%; P<0.0001; Q=87.07; I2=86%; n=1258)(Fig. 2a)。ウイルス培養によって活動性CMV感染症の診断を行った研究のみを解析したところ、発症率は12%であった(95% CI, 6%-22%; P<0.0001; Q=18.10; I2=83%; n=447)(Fig. 2b)。PCR検査または抗原検査によってCMV感染症の診断を行った研究のみを解析したところ、活動性CMV感染症発症率は20%であった(95% CI, 13%-31%; P<0.0001; Q=50.74; I2=84%; n=811)(Fig. 2b)。PCR検査と抗原検査とではCMV感染症発生率に差は認められなかった:PCR検査(19% [95% CI, 10%-32%]; n=549); pp65抗原検査(17% [95% CI, 8%-31%]; n=393)。

サイトメガロウイルスIgG抗体(訳注;過去の感染または現在の感染の指標。間隔を置いて4倍以上の上昇があれば現在の感染。ただし初感染か再感染かは分からない。)が元々陽性であったか陰性であったかによってCMV再活性化の可能性が異なることを踏まえ、区別して分析した。基準時点におけるサイトメガロウイルスIgG抗体のスクリーニングを行わなかったり、抗体に関するデータが収集されていなかったり、IgG抗体陽性率が報告されていなかったりした研究(つまり、抗体陽性の患者も陰性の患者も区別されずに行われた研究)では、活動性CMV感染症の発生率は全体で7%であった(95% CI, 3%-14%; P<0.0001; Q=21.67; I2=82%; n=681)。基準時点におけるサイトメガロウイルスIgG抗体のスクリーニングが行われたり、抗体に関するデータが収集されていたり、IgG抗体陽性率が報告されていたりした研究では、活動性CMV感染症の発生率は全体で31%であった(95% CI, 22%-42%; P<0.0001; Q=26.40; I2=73%; n=398)。(Fig. 3a)。

サイトメガロウイルスIgG抗体陽性患者についてウイルス培養でCMV感染症の診断を行った研究のみについて解析したところ、活動性CMV感染症発生率は22%に上昇した(95% CI, 7%-51%; P=0.06; Q=5.66; I2=82%; n=98)。サイトメガロウイルスIgG抗体陽性患者についてPCR検査もしくは抗原検査でCMV感染症の診断を行った研究のみについて解析したところ、活動性CMV感染症発生率は36%に上昇した(95% CI, 26%-47%; P=0.01; Q=13.06; I2=62%; n=300)。

ICU種別およびICU滞在期間による活動性CMV感染症発生率の違い
内科系外科系混合ICUにおける活動性CMV感染症発生率は8%であった(95% CI, 3%-18%; P<0.01; Q=42.61; I2=88%; n=683)。外科系ICUのみの解析では発生率は23%であった(95% CI, 15%-34%; P<0.001; Q=40.38; I2=85%; n=575)。内科系ICUのみについての解析は、研究の数が足りず行うことができなかった。ICU入室5日後までにCMV感染のスクリーニング(早期スクリーニング)を行った研究では、活動性CMV感染症発生率は1%であった(95% CI, 0%-4%; P=0.009; Q=0.03; I2=0%; n=216)。一方、5日後以降の晩期にスクリーニングを行った研究では、活動性CMV感染症発生率は21%であった(95% CI, 15%-29%; P<0.0001; Q=63.75; I2=84%; n=1042)(Fig. 3b)。サイトメガロウイルスIgG抗体陽性患者についてICU入室5日後以降にPCR検査もしくは抗原検査でCMV感染症の診断を行った研究のみについて解析したところ、活動性CMV感染症発生率は36%に上昇した(95% CI, 26%-47%; P=0.01; Q=13.06; I2=62%; n=300)(Fig. 4)。

重症度による活動性CMV感染症発生率の違い
昨今行われている重症敗血症の研究で採用されている定義に倣い、以下に当てはまる場合を、重症度が高い症例とした。:APACHEスコア20点以上、SAPS40点以上またはSOFAスコア10点以上。重症度が高い症例の活動性CMV感染症発生率は32%であった(95% CI, 23%-42%; P=0.001; Q=5.03; I2=40%; n=225)。重症度が低い場合の発生率は13%であった(95% CI, 6%-27%; P<0.0001; Q=15.89; I2=87%; n=361)(Fig. 5a)。重症敗血症and/or敗血症性ショック患者のみを対象とした研究では、活動性CMV感染症発生率は32%であった(95% CI, 22%-45%; P=0.008; Q=0.01; I2=0%; n=59)。一方、重症敗血症を発症した患者もそうでない患者も合わせて対象とした研究では、活動性CMV感染症発生率は15%であった(95% CI, 9%-22%; P<0.0001; Q=70.20; I2=86%; n=1199)(Fig. 5b)。人工呼吸患者のみを対象とした研究では、活動性CMV感染症発生率は12%であり(95% CI, 6%-22%; P<0.001; Q=4.98; I2=59%; n=347)、人工呼吸実施の有無を問わずに対象を設定した研究では、発生率は17%であった(95% CI, 10%-27%; P<0.0001; Q=62.55; I2=87%; n=812)。

活動性CMV感染症患者の全死因死亡率
活動性CMV感染症の認められた患者の死亡率は、CMV感染症を発症しなかった患者の死亡率の1.93倍であった(95% CI, 1.29-2.88; P=0.01; Q=8.38; I2=16.5%; n=633)(Fig. 6)。

感度分析
CMV感染症発生率および全死因死亡率について研究デザインごとの解析を行った。前向き研究における活動性CMV感染症発生率は17%(95% CI, 10%-28%; P<0.0001; Q=49.21; I2=84%; n=694)、遡及的研究では16%であった(95% CI, 8%-29%; P<0.0001; Q=31.38; I2=90%; n=564)。前向き研究では、感染群の全死因死亡率は非感染群の1.58倍(95% CI, 0.97-2.58; P=0.069; Q=7.05; I2=29%; n=454)遡及的研究では2.88倍であった(95% CI, 1.42-5.82; P=0.003; Q=0.08; I2=0%; n=179)。2001年以降は、世界的に活性化プロテインC(ドロトレコギンα;XigrisⓇ)および少量ステロイド投与が広く行われるようになった。このような治療法の変化が、我々の行った解析の交絡因子となった可能性がある。したがって、対象論文を二つの年代区分に分けて解析を行った:2001年以前は、CMV感染症発生率は15%(95% CI, 7%-28%; P<0.0001; Q=23.60; I2=83%; n=401)、2001年以降は18%(95% CI, 11%-29%; P<0.0001; Q=58.13; I2=88%; n=857)であった。2001年以前の感染群の死亡オッズ比は1.61(95% CI, 0.77-3.39; P=0.20; Q=1.97; I2=49%; n=149)、2001年以降は2.08(95% CI, 1.29-3.34; P=0.003; Q=5.85; I2=14%; n=484)であった。

白血球除去輸血製剤を使用すればCMV感染症発生率が低下するものと考えられるため、これも交絡因子となった可能性がある。そこで、白血球除去製剤のみを使用した研究について感度分析を行ったところ、活動性CMV感染症発生率は19%(95% CI, 8%-37%; P=0.002; Q=6.03; I2=66%; n=286)であった。白血球除去製剤の使用についての記載がなかった研究では、活動性CMV感染症発生率は16%(95% CI, 10%-25%; P<0.0001; Q=77.9; I2=88%; n=972)であった。

出版バイアス
CMV感染症と死亡率の解析について出版バイアスに関する検定を行ったところ、Eggerの回帰法(y切片の値=-2.27、SE=1.24、p=0.13)でも、BeggとMazumdarの検定法(Kendallの順位相関係数=-0.43、p=0.23)でも、バイアスは認められなかった。CMV感染症発生率の解析についても、Eggerの回帰法(y切片の値=-2.92、SE=1.44、p=0.07)、Begg&Mazumdarの検定法(Kendallの順位相関係数=-0.27、p=0.24)のどちらにおいても、出版バイアスは認められなかった。

教訓 免疫能が正常なICU入室患者で活動性CMV感染症の認められた場合の死亡率は、CMV感染症を発症しなかったICU患者の死亡率の1.93倍でした。


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