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成人先天性心疾患患者の麻酔~術中管理③ [anesthesiology]

Anesthesia for Noncardiac Surgery in Adults with Congenital Heart Disease

Anesthesiology 2009年8月号より

麻酔薬
成人先天性心疾患患者に麻酔薬を使用した際の血行動態に生ずる変化については、ほとんど研究が行われていない。大半の静脈麻酔薬は、心筋収縮力を抑制し、体血管抵抗を低下させる。したがって、麻酔導入時には、これらの作用により組織への酸素運搬量が減少する可能性がある。一方、エトミデートであれば、他の心機能低下症例に使用した場合と同じく、先天性心疾患でも血行動態は安定しているという報告がある。先天性心疾患患者ではケタミンが有用である可能性があるが、詳細は明らかにされていない。先天性心疾患のない成人においては、ケタミンは肺血管抵抗を上昇させるという報告がある。だが、先天性心疾患があり高度の肺高血圧症を呈する小児にセボフルラン麻酔を行う際にケタミンを併用すると、肺血管抵抗の上昇を招くことなく、体血管抵抗および心室機能が維持されるという意見もある。静脈麻酔薬と同じく、吸入麻酔薬についても、患者の生理と、目標とする肺血流および体血流のバランスを勘案して使用する薬剤を選択するべきである。

心内および体肺シャント
シャントがあると麻酔管理に重大な影響が及ぶ。心内シャントのある患者では、すべての静脈路から細心の注意を払い空気を除去し、空気塞栓症のリスクを低減しなければならない。心内または体肺シャントのある患者では、換気方法、体位、薬剤、出血の影響を考えながら、肺血流と体血流のバランスを適切に維持しなければならない(figs. 1 & 2)。チアノーゼ性先天性心疾患の患者では、気道内圧が高いと、静脈灌流が妨げられ、肺血管抵抗が上昇し、右左シャントが増える。大きいASDのある患者では、浅麻酔や交感神経刺激によって体血管抵抗が上昇し、左右シャントが増え、体循環への心拍出量が減る。Glenn手術後またはFontan循環の患者では、Trendelenburg体位(頭低位)にすると、中心静脈(上大静脈)圧が上昇し、脳血流量が低下する可能性がある。体肺シャント(BTシャントなど)のある患者では、血圧が低下すると、肺血流量も減少し、動脈血酸素飽和度が低下する。以上は、成人先天性心疾患患者の非心臓手術の管理を行うにあたって知っておかなければならない複雑な生理の、ほんの一端である。

単心室
麻酔科医にとって単心室の解剖と生理は、Eisenmenger症候群と並んで、先天性心疾患のなかでも最も管理が難しい。Fontan手術が最初に報告されたのは1971年のことである。この術式は、当初は三尖弁閉鎖症の患者に行われていた。現在では、適応が拡大され、あらゆる種類の単心室症に対して行われている。Fontan手術がはじめて報告されてからというもの、少なくとも10通りの変法手術が行われてきた。いずれの術式も、右室をバイパスし、上下両大静脈から肺動脈へと非拍動性の血流が圧差によって受動的に供給される。したがって、いかなる要因の結果であれ、肺血管抵抗が上昇すると、肺血流量が減り動脈血酸素飽和度が低下する。Fontan循環の患者には往々にして、心臓合併症および心臓以外の合併症が認められる。たとえば、上室性不整脈、拘束性肺障害、血栓塞栓症、肝機能障害などである。Fontan術後の患者では、凝固能亢進、凝固能低下のどちらもが認められ得る。どちらにせよ、術中出血量のリスクが高くなる。Fontan循環の患者では、動脈血酸素飽和度を90~95%以上に維持しなければならない。動脈血酸素飽和度が90%を下回る場合は、静脈側副血行路、動静脈奇形もしくはシャント遺残などの有無を評価しなければならない。

教訓 心内シャントのある患者では、すべての静脈路から空気を除去し、空気塞栓症のリスクを低減しなければなりません。心内または体肺シャントのある患者では、換気方法、体位、薬剤、出血の影響を考えながら、肺血流と体血流のバランスを適切に維持します。体肺シャント(BTシャントなど)のある患者では、血圧が低下すると、肺血流量も減少し、動脈血酸素飽和度が低下します。

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